第2話(6月25日号)
ちょっと未来を想像してみよう
つむぎちゃん:「高齢化社会」って、どんな問題があるの?
人はみな、年をとります。
多くの人は、年を重ねながら、体のがんばりがきかなくなってきます。
だから、仕事をするのも大変。
でも…
ごはんも食べたいし、
お風呂にも入りたい。
若いころのように、お出かけしてショッピングもしたい。
人として、当たり前の生活を営みたい。
人は、年をとったらどうすればいいのでしょうか?
つむぎちゃん:「う~ん、貯金をしておくか、それとも…」
高齢者を支えるのは、若い人の力です。
高齢者が豊かに暮らせるよう、
お金や力を出しあって、支えあう。
それが保険制度です。
高齢者ももちろん、若いころはお金を出しあっていました。
だから…わたしたちも同じようにお金を出しあって、
年をとっても豊かにくらせるような社会を作りましょう。
…しかし、
ここで今の日本は大きな問題につきあたってしまいました。
高齢化社会です。
日本人すべての人口のうち、
高齢者の占める割合が大きくなってきたのです。
10年くらい前までは、およそ5人に1人が高齢者でした。
でも、およそ10年後には、4人に1人が高齢者になります。
2050年には、3人に1人が高齢者になるといわれています。
…さて、いったい何が問題なのでしょう?
つむぎちゃん:「わかった。若い人の支えが少なくなりそうね。」
そのとおり。
このままいくと、保険制度は破たんしてしまいます。
これを防ぐには…
(1)1人1人の保険料(かけ金)を値上げする。
(2)高齢者(介護事業)への支給を少なくする。
(3)保険制度の見直しをはかる。
などの方法をとらなければなりません。
つむぎちゃんは、どう思うかな?
つむぎちゃん:「(1)と(2)はぜったいイヤ」
そんなわけで厚労省によって、
保険制度が2013年に見直されました。
これは実にたいへんなことです。
結論からいうと、
「比較的元気な高齢者の切り捨て」をしようとしているのです。
どういうことかと言うと…
軽度の高齢者は、もう国では面倒が見られない。
「介護予防」という考え方も、もうやめました。
だから、市町村や地域のボランティア、NPOで何とかしてください。
そう言ってるようなものです。
デイサービスも、特別養護老人ホームも、
重度の要介護者しか受け入れられなくなります。
ほんの少し「体が言うことをきかない」くらいでは、
専門のサービスが受けられなくなるのです。
こうなると、たいへん!
高齢者本人にも、家族にも、
より大きな負担がかかるようになるのです。
保険制度の「改正」ではなく、「改悪」ですね。
つむぎちゃん:「ヘルパーさんのサービスもなくなるの?」
今回の保険制度の見直しによって、
生活援助(くらしのお手伝い)をする時間が圧迫されました。
「生活援助」は、
たいてい60分か90分を目安にサービスを提供してきましたが、
これからはどれだけ頑張っても45分未満か、
60分程度しかサービスを提供できなくなるのです。
利用者さんからは、
今までのように90分のサービスをしてほしい。
事業者は、これ以上サービスの時間を増やすと経営が圧迫される。
ちょっとしたコミュニケーションさえ、ままなりません。
人と人との支えあいではなく、
ただ粛々と決められた仕事をこなせばいいのだ。
そんなふうに押しつけられたようなものです。
このように、介護保険制度の見直しにより、
サービスが悪化することや、
経営状態が苦しくなるようなことは、
何としてでも避けなければいけません。